WACATE2014夏

日高屋でラーメン食ってるときに参加を決めた

3月、テストの人達の人物像を確かめるためにJaSST'14Tokyoへ行きました。収穫は多くありましたが一日見物したくらいでテストの人達とは何だかわかるわけもなく、消化不良感もありました。

JaSST '14 Tokyo 感想 - テスコンとテストの人達とは。必要なのはロマンスとエンジニアリングだ。 - MassKaneko.Out

そしてある日の夜22時、くたびれた体で汁なしラーメンを食べながらTwitterを見ていると「WACATE2014夏申し込み今日まで」との情報があり、迷いました。

とりあえずTwitterでそれっぽい人達を探してみるとなんかマニアックでやる気あるっぽい方々が多くいそうだし面白いんじゃないかと。あと、私はテスト専門ではないのですが今のポジション的にはもうちょっとわかってないといかんという事情もあって参加することにしました。

といったところで汁なしラーメンを食べ終わりました。

改めて、ソフトウェアテストと自分

WACATEでは参加者がポジションペーパーをあらかじめ書くのが恒例のようです。40人以上が参加して1泊2日を過ごすワークショップですから、参加者同士のコミュニケーションが生まれやすいように配慮しているのでしょうね。

人によってはずいぶん気合の入ったポジションペーパーもありましたが私はいかんせん締切2時間前にラーメン屋で気付いた経緯もあり、そこまで凝ったものは作れませんでした。というか変に短時間で気の利いたことを書こうとしてちゃんと自己紹介を書けていませんでした。そこで改めてソフトウェアテストと職務上の自分との関係を簡潔に示してみることにします。

  • 元々は開発者。テストでバグを出される側。出されるとげんなりする。
  • システムテストを手伝ったこともあったけど自分はほとんどバグを見つけられなかったので、向いてないんだろうなと思った。逆にレビューではズバッと欠陥を見抜いたり、静的コード解析には強い興味があったりした。なので、Static Testingだけ尖ってる感じがある。
  • なんやかんやで開発からコンサルティングをする立場になった。ソフトウェア工学のことなら何でも一通り押さえておかないといけなくなったけど、テスト…特にブラックボックス視点でのシステムテストはぽっかり穴が開いていた。
    ※他にも穴はあるけど特に苦手意識があった
  • ふとした縁で何人かの識者と会ったことをきっかけに基礎を固めることにした。テストエンジニアと技術的な会話をできるようになっておこうと思ったからだ。とりあえずJSTQB FLのシラバスくらいは読んだ。他、色々調べたり手を動かした結果、テスティングはクリエイティブで発展している技術分野っぽいことがわかった。
  • 生粋のSoftware Testerみたいな人を見ておこうと思ってJaSSTへ行き、WACATEにも参加することにした。

WACATEのワーク

Workshopなのでワークがあります。あるお題のアプリケーションのツッコミどころ満載な不完全な仕様書とテストケースからテストの意図をリバースするというのが今回のテーマでした。これを数名のグループで一泊二日どっぷり取り掛かるわけです。リバースの手法としては「ゆもつよメソッド」(の一部)を使って機能:テストカテゴリの表を作り、意図が書いていない既存のテストケースをはめこんでいくというものでした。

私としてはトップダウンでテスト分析するより、具体的なテストケースから抽象的なテスト条件に汎化させて更にそれらをカテゴライズしてテストカテゴリを導き出す方がやりやすいかなと思いました。テストカテゴリは全然思いつきませんが「確認しておいたほうがよいこと」「懸念・心配すること」の方が先にどんどん思いつきますから。テスト対象のプロダクトに馴染みがあり、論理的機能構造(入出力・変換・貯蔵…)や品質モデルを理解していたとしても、テストカテゴリっていきなりは出てこないと思います。リバースの方がしっくりきました

グループワークとしては機能の抽出ですらなかなかモメたりして「うまくいかんもんだなー」と思ったりしましたが、お題のドメインに親しみがあったのがグループで私しかいなかったようなので致し方なしかな。でも凄く良いワークだと思いました。

※参加者向け:惜しむらくはリバースではなくトップダウンで仕様から入ろうと思えば入れたところでしょうか。あのお題の仕様書がもっと欠落していれば、よりリバースっぽい作業ができたのでは。お題を作る側としては相当バランスに悩んだと思いますが。どうでしょうか。

WACATEの人達と雰囲気

参加者は実行委員を除いて50名近く。初参加は約半数。でしたっけ。とにかく皆さん自発的に来ているだけあってかとても熱い感じです。かなり遠くから前泊して参加した方も結構いらっしゃったようです。あと、フレンドリーな方ばかりでしたから初参加でも全然問題ないと思いました。

ポジションペーパーを見る限りでは、職種の分布は「テストエンジニア・QA(9)」「開発(3)」「コンサル・研究(1)」ってところでしょうか。業界はバラバラのようです。とりあえずワークのグループメンバーはステートマシン図にはあまり馴染みがないようでした。

ワークのテーマが派生開発を背景にしているからでしょうか、XDDPの生みの親である清水吉男さんがいらっしゃいまして、参加者の多くが知っていそうな感じなのが結構意外でした。組込み分野以外ではあまり認知されていないと思っていたのですがそうでもないようです。そういえばこの間のAFFORDDに行けなかったんですよね。あいにく旅行がかぶってしまいまして。おっとこれは関係ない。

1日目のワークが終わり、夕食からは酒が入って皆さん饒舌になっていきます。ワークが終わっても「夜の分科会」なるものがあり、個々人の嗜好別に何かしらのテーマについて議論します。探索的テスト好き集まれーみたいな感じ。更に夜が更けると寝る人と寝ない悪い人に分かれます。私は分科会が終わって目がさえてしまったので寝ない悪い人を選びました。ここから先はもうただの酔っ払い同士なのですが、それでもまだ技術の話が続くわけですね。「テスターはコードの品質には興味ないんですよ」なんて話も聞いて、それはもう大ショックを受けてMPが0になりましたが私は元気です。

そうそう、あとJaSST'14Tokyoで見た参加者の声を自由に書けるようなボードに「バグ出しは楽しい!」って書いてあるのを見て「正気か?」って思っちゃったんですよ。だってバグなんですよ?ダメなことがわかるんですよ?仕事増えるんですよ?凹むじゃないですか。で、WACATEにはバグ出しが楽しい人が沢山いると思って何人か…7人くらいかな…に聞いてみましたところ、目を輝かせて「楽しいよ!」と語る方と「うーん?」という方に分かれました。ちなみに自分がもしテストエンジニアだったら、エンドユーザーの利便性に大きく関わるバグを技術を使って見つけて、更に直ったところまで見届けて、できれば自分で直せれば楽しいですね。見つけること・出すこと自体は特に惹かれません。ここは分かれると思います。人それぞれの嗜好の背景を聞くのは好きなのでまたWACATEみたいな層と会うことがあったら聞いてみたいと思います。

行ってよかったですか?2014冬は参加しますか?

参加費22000円はものすごく割安だと思います。迷ってたら行くべし! 参加者の方々、実行委員の方々、講師・ゲストの方々、貴重な機会を頂きありがとうございました。

といいつつ何回も参加するのが吉なのかは測りかねているところもあるのですが、冬のWACATEは夏とはプログラムの組み方が違うらしいので今のところは参加しようと思っています。

願わくばこのエントリが未来のテストエンジニアの背中を押せるかどうかはわからんけど何かの役には立ちますように。

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