JaSST '14 Tokyo 感想 - テスコンとテストの人達とは。必要なのはロマンスとエンジニアリングだ。

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テストのイベントに参加するのは初めて。行ったのは2日目だけ。参加した理由はJSTQB東京の試験が大雪で中止になってムシャクシャしてたから!…という感情的な動機がありつつも目的は2つ。

  • テスト設計コンテストを見て、レベルの高いテスト設計およびそれらの優劣とは何なのかを確かめること。
  • テストのイベントに来る人たちの層・人物像を確かめること。

主な感想。

…。記憶が新しいうちにブログ書いておきます。 

テスト設計コンテスト決勝

ソフトウェアに関するコンテストというと、プログラミングコンテストのようにその場で問題を出されていかに早く解くかを競う形式が思い浮かびます。が、テストのコンテストはそうではなく、あらかじめ提示されたテストベース(※今回の場合は自動販売機の仕様書)に対してどのようなコンセプトで分析・設計を行うのか(※観点の抽出や技法の選択など)が勝負どころのようです(前回(2013)の審査基準)。

今回は日本全国での予選を勝ち抜いてきたチーム同士の決勝戦で、各チームのプレゼンを聞くことができました。どのチームもテスト要求分析とテストアーキテクチャの説明が7割くらいな印象でした。私はテスト要求分析もテストアーキテクチャも理解がさっぱりなのですが、それらの存在意義・あると何が嬉しいのかを理解できたチームは「MKE98」と「TFC KA・RI・YA」の2チームでした。で、これらのチームが優勝と準優勝。おお、私の目に狂いは無かった!(偶然だろ?)

多くのチームがPFD・DFD・UMLマインドマップ・マトリクスを使って図示していたのも印象的でした。テストベースに加えて「ステークホルダー」「対象システムの特性」「過去のバグ事例」「品質特性」を踏まえてマインドマップでテスト観点を発想し、各テスト観点のテストベースに対する網羅性をマトリクスで確認するというのが一つの定石なのかなと思いました。

結局当初の目的である「レベルの高いテスト設計およびそれらの優劣を確かめること」についてはプレゼンだけでは理解できなかったので、後日ASTERのウェブサイトで公開されるであろう具体的なドキュメントを見るしかないですね。とりあえずは過去の発表資料でも見ることにします。

テスコンの物足りなさ

テスコンで求められるのはクリエイティブで工夫のし甲斐のある知的な活動であり、それにのめり込む層が存在することは理解しつつも、何か消化不良感・肩すかし感があります。

それは、動くソフトウェアを見ていないから。私が最初に「テスト設計コンテスト」という言葉を聞いたときに真っ先にイメージしたのは、実際に目の前でバグが検出されてゆく様を見ることができるライブ感のあるコンテストでした。例えば仕様などのテストベースを事前に渡しておき、本番では各チームが一斉にテスト実行、バグレポート提出、制限時間内に見つけたバグがテスト対象の価値向上にどのくらい寄与するかで競う形式です。実況「Bチーム3つ目のクリティカルバグ発見ぇん!!」聴衆「おおおおお
!」だとか。

そもそも名前がテスト「設計」コンテストですからテスコンの主旨はそこには無いとは思いますし、上記のようなコンテストを実現するのは準備がとても大変でしょうけれども、エンジニアとしてはやっぱり動くものを見たかったというのが私の一番の本音です。

思ったよりカジュアルな雰囲気

テスコンが終わって次の講演が始まるまではポスターセッションと企業ブースをうろうろ。仕事でお会いした方もちらほら。東海メトリクス勉強会の同人誌を見たり、バグレポートのパターンを調査する話を聞いたり、CodeIQの問題に答えてどらやきもらったり、ソフトウェア病理学の読書会の方とお話したり、テストエンジニアの声がポストイットで沢山貼られているボードを見たり、テスコンの詳細なドキュメントを見たり…さすがソフトウェアテスト専門のイベントだけあって濃かったですね。

あと、思ったよりカジュアルな雰囲気でした。「どーせISO29119なんて堅いこと言い出す人達の集まりはスーツのおじさんばっかりだろ?」とか偏見持ってて本当にすいませんでした。皆さん、技術が好きなエンジニアばかりです。

八谷さん講演

まずは八谷さんの講演。懐かしのメーラーPostPetの作者であり、ナウシカに登場する飛行機メーヴェを実現させちゃった人。なんでJaSSTにいるのかわからないけど、とても元気の出るお話でした。実況ツイートから1つ引用します。

講演の終わりに質疑応答タイムがありました。面白いのが、あらかじめ座席の肘掛に貼られたポストイットに質問を書いてスタッフが回収し、まとめてサクサク答えてゆくというスタイル。1000人は入るであろう場所での講演で、こんなに沢山の質問に答える光景は初めて見ました。

パネルディスカッション

続いて大御所同士のパネルディスカッション。お題はテストエンジニアの育成。前置きと自己紹介で多くの時間を費やして結局まとまりませんでしたが、私は「ワクワク・ロマンス・エンジニアリング」というシンプルな西さんの意見に最も同意しました。「パクんなwww」って思ったけど。

結局目的は果たせたのか。行ってよかったのか。

  • テスト設計コンテストを見て、レベルの高いテスト設計およびそれらの優劣とは何なのかを確かめること。

知識が足りなくて理解し切れませんでした。主にテスト要求分析とテストアーキテクチャ設計に関する知識が必要と思われる。本を読むだけではなく、手を動かさないと理解できなさそう。

  • テストのイベントに来る人たちの層・人物像を確かめること。

テストが好きなエンジニア。気質は開発エンジニアに通じるが、興味の対象は異なると思われる(普通の開発者はバグ出しが楽しいなんて多分言わない)。

 

最初は参加費5000円に躊躇しましたし、ソフトウェア開発についてテストは第一の興味ではないのですが、ちょっとでもテストに興味があれば行くと得するイベントだと思いました。