チェコ、ドイツ、フィンランド旅行記

チェコ(プラハ, ピルゼン)、ドイツ(ドレスデン)、フィンランド(ヘルシンキ) の3か国を旅行してきた。 主な目的はビール。チェコにはピルスナーウルケル(Pilsner Urquell)というピルスナーの祖となるビールがある。 これをお目当てとして、ついでに周辺にも行くという狙いの行程だ。 計画は同行した友人がほぼ全てを行い、私はそれに乗っかった。感謝感謝。

以下、8日間のことを記す。写真も多いのでそれなりにスクロールすることになるだろうから、最初に私が覚えておきたい点をかいつまんで記す。

  • ヘルシンキのサウナ施設ロウリュは最高!!!!!
  • ピルスナーウルケルは飽きない味
  • 昔の石造りの建物が残った街並みはとても新鮮
  • 夏の日の入りは21時以降
  • めしは全部うまい。量に注意。
  • 観光客を相手にしてる人なら英語は大抵通じる
  • プリペイドsimでモバイルインターネットは安心
  • 電車の駅に改札はない。特定の地域を一定時間乗るチケットを買う。
  • 路面電車は珍しいものではなく一般的
  • Google Maps のルート検索は頼りになる
  • トイレの多くは有料
  • 現金はクレカで手に入れられる
  • ヘルシンキのサウナ施設ロウリュは最高!!!!!

さて、ここから本文。繰り返すが、画像つき8日分なので長い。

1日目: 成田からヘルシンキ経由でプラハ

家を出る前の40分で荷造り。 なんとかなるものである。

プラハへの直通便はないのでヘルシンキを経由する。成田からヘルシンキまでは10時間ほど。 エコノミークラスなので快適とは言えない。こんなときはビールでも飲んで寝てしまおうと思い、1杯目は缶のカールスバーグとなった。

結局、断片的な睡眠をとっただけで大して眠れずヘルシンキに到着。 生体認証パスポートを持ってる人だと自動で入国審査ができるとの案内があったので、そんな機能あったかなぁとダメもとでやってみたら通れた。パスポートを機械にかざすと1つめのゲートが開く。顔をカメラに向け、何秒かすると2つめのゲートが開く。顔の照合をしているのだろうか。その後は審査官がいて、いつものようにパスポートを渡す。あれ?結局、人が審査するのね。

ここで simカードをヨーロッパで使えるプリペイド式のものに切り替えた。TwitterもLINEもGoogle検索も、何もかも使える。ひとまず安心。 私が使ったのは AIS プリペイドSIMカード データ通信 15日 4G/3G というもの。この旅行で行ったどの街でも通信できた。タイの通信事業者らしく、使用し始めるとタイ語が入ったSMSが届く。 日本でも使用することができるので、simを入れ替えるのは出発前でもいいだろう。

ヘルシンキで友人と合流して2時間後にプラハへ。再び飛行機で2時間。空港にはクレジットカードでチェコの通貨であるコルナ(CZK)を買える機械がある。 1000コルナだけ買った。この時点のレートは1円≒5コルナだったので、1000コルナは約5000円だ。 現金などいらないのではないか?とも思ったが、公共交通機関、トイレ代を見越して最小単位を購入した。

このとき、クレジットカードで現金を買ったつもりだった。 しかし、帰国後にわかったのだが、実は買ったのではなく借金をした扱いらしい。 つまりキャッシング。利息がつく。カード会社に電話して繰り上げ返済すれば利息が減る。 といっても、今回の旅行で手に入れた現金くらいの額では利息は数百円なので、電話して振込という手間とそれを覚えておく方が高いと判断し、 何もしない、つまりショッピングの支払いと同じく翌月一括払いのタイミングで返済することにした。 「クレカで他国の現金を買えるのではないのか?何で借金扱いなんだろう?」という疑問が残るが…まぁいい。旅行記に戻ろう。

(画像はプラハ中央駅の外にあるキャッシング機。似たようなものが空港にもある。)

プラハ空港からタクシーでホテルへ。19:30だというのに昼間のような明るさ。空は青い。タクシーの運転手いわく、日没は21時以降で、フィンランドだと1時だそうな。30分ほどでホテルに到着し、時刻は20:00。日本の家を出たのが6:30なので、家からホテルまでの所要時間は20時間くらいか。いやはや、遠くへ来たもんだ。日本とチェコの時差は7時間。日本はGMT+9、チェコGMT+2。つまり、例えばチェコで20:00のとき、日本は翌日の3:00ということ。

ホテルの部屋でめぼしいレストランを検索して徒歩で向かう。昔からある石造りの建築物をそのまま使ったような街だ。高層建築物は見当たらない。目に入る店は、飲み屋、レストラン、ホテル、土産物屋、ライブハウス、電気店マクドナルドなどのチェーン飲食店、などなど。

レストランでは早速ピルスナーウルケルで乾杯。うまい。旅の始まりである。時刻は21時。日本の感覚で言えばまだ明るさが残る夕方になりかけといったところだ。 料理は、うさぎの足のロースト、チキンの煮込み、豚の…なんとか、ハンガリアンキューカンバーサラダ。メニューには英語が併記されていて、店員も英語を話せる。問題ない。

肝心の味は……うまい!!心が賞賛するんじゃ。何の香辛料を使っているのかわからないが独特の落ち着く香りがする。チキンとうさぎはやわらかい。豚の料理はさつま揚げのような形をしたピカタなんだけどこれもうまい。優勝。

二日目: チェコ - プラハ観光

旧市街からカレル橋を渡ってプラハ城へ行った後、ウルケルを一番うまく飲ませてくれると評判の店 U Zlehato tygra へ行くという計画を立てた。

その前にホテルで朝食。種類が豊富なバイキングだ。一日目の夕食にひけをとらず、とてもおいしい。チーズの塊が4種類置いてあり、自分で切ってとることができる。ハムとサラミが3種類ずつ。野菜は酢漬け、和え物か何種類か。ケーキが何種類か。トマトと豆のスープ。飲み物はコーヒー、ジュース、紅茶、ミント水。

プラハには地下鉄と路面電車があり、一日券が110コルナであることがわかった。券は地下鉄と路面電車で共通している。券をどこで買えるかわからなかったので、プラハ中央駅ならあるだろうと踏んで歩くことにした。少々迷ったが売り場に着き、1日券を買うことができた。乗るにはまず時刻を印字する必要があり、印字時点から24時間乗ることができる。改札は存在せず、乗車毎に券を見せる必要は無い。ときどき、ホームにいる駅員が券を持っているか確認しに来る。こうして地下鉄に乗り、まずは旧市街近くの駅で降りた。どの駅で乗り降りすればよいかは Google Maps の道案内機能を使えばなんとかなる。

旧市街を散歩。改めて書くが、昔ながらの石造りの建物しかない。

10:30に飲食店で小休憩。ビールを1杯、36コルナ。日本円にして180円ほど。コーラは55コルナ。ビール安い。

カレル橋、英名Carles bridge を渡る。銅像がたくさんある。何の像だかさっぱりわからない。ベルセルクのモズクズ様御一行を思い起こさせるものもあった。 これなんて今にも魔女狩りを始めそうな奴らだ。こわい。

像も多ければ観光客も多い。スリも多いらしいので気をつける。川には鴨の群れがいる。チェコに鴨がいるのか、やつらが鴨なのかわからないが、鴨にしか見えない。やつらはときどき逆さまになり、首を水中につけ、足を水面から出している。魚を捕りにもぐるのならわかるが、何をしているのだろうか。プリプリした体で逆さまになるのは間抜けに見える。

そんな面々を目にして歩いていると、いよいよプラハ城だ。街もそうだったが、城も全面石造りだ。城というより王宮や聖堂などの大きな建物が集まった地帯という方が近いのではないか。もちろん日本の城のような天守閣は無い。荷物検査をして中へ。広く、暑く、人が多い。

無料で見物できる場所と有料の場所に分かれている。無料でもそれなりに楽しめると思う。 今回はBコースのチケットと撮影権を買った。日本語の案内もある。

武具が並んでいる。ベルセルクで見たことある!タクティクスオウガテンプルナイトだ!…くらいしか感想が出てこないのが悲しい。

このステンドグラスに描かれた人々もドラクエのキャラクターのようだ。色使いがとても似ていると感じた。 もちろん、こちらの方が先に生まれたものであるのだが。

城下町といった風景。「ここがグランバニア城です」だとか適当なことを言っても通じそうだ。

さて、街全体が世界遺産ともいえるプラハ。至るところにIngressのポータルがある。Ingress というのは実際の場所を使ったスマホゲーで、青と緑の2チームで陣地を取り合ったり、行った場所(ポータル)の数を記録したりすることができる。私はこの時点でレベル11であり、12に上がるためにはあと1つのゴールドメダルが必要。そして、ゴールドメダルを獲得できそうな条件としてcapture unique portals があったので、道中で集めることにした。あと100個の unique portals を capture すればレベルが上がる。結果、旧市街から城内の散歩だけで100個集まってしまった。ありがとうプラハ

城の散歩にも飽きてきたところで、この日の最後の目的地、ウルケルが評判の店である U Zlehato tygra へ。15:00開店に合わせ14:30に到着。早く着きすぎた…待つしかない…。もう歩き疲れており、昼食も食べていないのでおなかもすいている。まだか…まだか…と思いつつ待つ。気づくと後ろに列ができている。やはり有名店なのか。

15:00になり開店。ほぼ満席だ。早速ウルケルを注文…する必要はないらしい。勝手に出てくる。しかも、飲み切ると次が出てくる。終わりにするときはコースターをグラスにかぶせる。まるでわんこそばだ。店員の1人はひっきりなしにウルケルを注ぎ、グラスを洗っている。この光景だけで酒を飲むことができる。料理は、豚の中華あんかけのようなもの、ニシン?の酢漬けでザワークラウト?を巻いたもの、あと2品は忘れた。ほとんどの客はビールだけ飲み、料理を頼んでいない。1杯飲んだら帰る客もちらほらいた。15時だしその方が普通なのかも。我々は料理についてきた大量のパンとビールによっておなかいっぱいになってしまった。

こんな風に空きグラスを置いておくと…

店員が新しいビールの入ったグラスを持ってきてくれる。わんこそばという表現をしたが注ぎ足されるわけではない。

飲んでいる途中、こんな風に泡が偏るのがウルケルの特徴。ほかにもこのようなビールはあるのかもしれないが、私はこれしか知らない。

この日はホテルに戻ってシャワーをあび、19時に就寝。夕食抜き。

3日目: チェコ - ピルゼン

ピルゼン(Plzen)にあるウルケルの醸造所へ。つまりウルケルの本拠地だ。

プラハ中央駅から Západní expres で2時間。日本で言えば在来線特急: 東京〜伊東といった位置づけの電車だろうか。ドア付きの6人部屋が並んだ内部構造になっている。自由席と指定席の区別はなく、席が予約されているか否かで区別する。道中の車窓からは田舎の風景が見える。広い一軒家、牧場、古い工場、山、草原。すぐに退屈になった。この文章はそういうときに書いている。

11:30、ピルゼン駅に到着。醸造所の場所は駅から歩いて5分かかるかくらいの近くだった。早速ウルケルを1杯…うまい。この味にも慣れてきた。見学予約時刻は13:00なので周辺を散歩。プラハと違って近代的なビルもある。といってもここも昔ながらの石造りの建物の方が多い。市庁舎でさえそうだ。

広場には鳩の群れがいる。首振りのしぐさ、人がパンくずをあげるところなど、日本と同じだ。色がちょっと違って、緑とピンクが見られない。種類が違うのだろうか。

公園のような場所を歩いているとviareality というQRコードが描かれている看板を見つけた。おそらく専用アプリのカメラで読むと何かが浮かびあがるのではないか。

いよいよ醸造所の見学だ。我々を含め25人ほどの集団に1人の引率者がついた。解説は英語。見た目や聞こえてくる言葉からして、皆の国籍は多様なのだろう。東洋人らしき人は10人ほど。この見学では醸造所の歴史と設備を知ることができた。

醸造所は1800年代中ばに誕生。それ以前は酒屋ごとに醸造所があり、同じ町の同じ種類のビールといっても味はそれぞれ異なった。また、同じ店であっても品質にはばらつきがあった。発芽、発酵、材料や在庫の貯蔵など、多くの工程において温度管理が重要となる。昔は、冷やす際に雪をかきあつめて地下の専用部屋に放りこみ、そこに大樽を並べた冷蔵室を作った。現在ではより大量のビールを効率的に作るための設備を備えている。量産、管理、再利用のためのテクノロジーは大きく進歩したが、材料や温度などのレシピは昔から変わっていない。…とのこと。

実際の新旧の設備を見学者用の通路から見ることができた。

現在の工場。これはビンを再利用するための工程かな。

近代の設備。

現在の設備。

最後に、冷蔵室…というか地下洞窟のような場所を進むと、樽から無濾過のビールを振る舞われた。樽製の立ち飲み用テーブルまで用意されている。これがうまい!店で飲む樽生や缶のものとは別物だ。うまいが…ここはとても寒い。マイナス何度なのだろう。味わう余裕があんまりない。引率者は「このビールには豊富なビタミンが含まれています。アルコール度数は4.4パーセント。1日1杯までにしてくださいね。」と、高橋名人のようなことを言っていた。しかしこれは2杯目だ。見学はここまで。冷蔵庫から解放された。

時刻は15:00。醸造所併設の店で昼食をとる。アヒル料理を注文。うまい。1皿で満腹に。ホテルに戻って21時を過ぎても全く腹はすかず、2日連続で夕食を抜くことになった。

4日目: ドイツ - ドレスデン

プラハ中央駅から Euro City に乗ってドレスデン(ドイツ)へ。電車で別の国へ行くのは初めてのこと。パスポートはチェックされなかった。 ドレスデンはドイツの東部、チェコとの国境近くに位置する街だ。 これまでにチェコで見た光景とは全く異なり、ショッピングモールやビルが並んでいる。街だ。

ドイツの通貨はユーロだ。もはやコルナは不要。コルナの時と同じくクレジットカードを入れるとユーロの現金を出してくれる機械を使う。

言わずもがな、ドイツもビールの国だ。早速一杯。これにて、ドイツでドイツビールを飲むという実績を達成した。 メニューを見るとチェコとは明らかに物価が異なる。このとき、1ユーロは約130円。 日本円の感覚でいえば、日本と物価はあまり変わらないという印象だった。

連日のパーティ行軍で疲れているのと、この日はさしたる予定も無かったのもあって単独行動することにした。 散歩をしていると馬が目に入る。ファイアーエムブレムパラディンだな、くらいしか感想が出てこない。

川がある。エルベ川という名だそうだ。 水が流れている様というのはいい。心が洗われる。 河原にはタンポポがたくさん咲いていた。西洋に生えているのだからセイヨウタンポポだろう。 河原に生えている雑草は日本とは異なる。具体的に言うと、この河原には笹、ドクダミヨモギセイタカアワダチソウが存在しない。

河原ではこのような積まれた石が見られた。 ほか、平たい石を手首のスナップを効かせて投げ、水面を跳ねさせる子供、ピクニックをする人々、釣り人、泳ぐ人が見られた。 河原でやることは日本と変わらない。

河原をあてもなく歩いているとビアガーデンが目に留まった。 ざっと100席はあるだろうか。パラソルと共にテーブルと椅子が並んでいる。 平日の18時ごろ、客は全部で20人ほどだった。 ホフブロイヴァイス500mlで6ユーロを注文。うちデポジットが2.5ユーロ。 飲み終えてグラスを返却すると2.5ユーロ戻ってくるということだ。このルールは日本のオクトーバーフェストで習った。

晩ごはん。 おっぱいのような炭水化物が添えられた肉料理だ。

圧巻のビール売り場。この5倍はある。

こうして初めてのドイツを過ごした。

5日目: ドイツ - ドレスデン

この日の予定はエルベ川の船に乗った後、ザクセンのスイスと呼ばれる切り立った崖に登り、プラハに戻るというものだ。

エルベ川の船には水上バスに相当する交通手段と、一定の距離を周る遊覧船の2種類がある。

当初の予定ではザクセンのスイス(上流)まで船で行く予定であった。 しかし、この日は水位が足りないため上流へ行く便が出ていないという。 仕方ないので、遊覧船に乗って船気分を補充してから電車でザクセンのスイスまで行くことにした。

遊覧船を待つ中、すずめのような鳥が目に留まった。 私が座っているすぐ目の前に降り立ち、砂浴びをしている。日本のすずめよりも警戒心が薄いようだ。

ドレスデンから出発し、上流へ向かう遊覧船からの風景は時が過ぎるごとに郊外の様相を表す。 遊覧船の乗船時間は90分。ある程度上流へ行ったらドレスデンへ戻る。 乗客数は座席数に対して8割ほどだっただろうか。まぁまぁにぎわっていた。

上流の川岸ではこのような作物を育てている様が見られた。何の作物なのだろうか。

遊覧船の90分を終え、ドレスデン駅からチェコ方面へ電車で移動。Kurort Rathen (クラウト・ラーテン)という駅へ。 ここがザクセンのスイスに登る玄関となる駅だ。見ての通り、田舎の駅。

駅から登山口に辿り着くためにはエルベ川渡し船に乗る。乗船料は往復で2ユーロだったか?…忘れた。 渡った光景がこの画像だ。まるで御殿場の時の栖のように見えた。御殿場高原ビールもドイツスタイルのビールだからか、リゾート地の見た目まで似せているのだろうか。

ドイツにある時の栖には BASTEI と書かれた看板があった。日本人の私にはバス停に見える。 こんなドイツの田舎に、しかも山にバス停があるのだろうか?という疑問が浮かぶが好奇心のもとに信じて進むことにする。

看板の通りに進むと登山口に辿り着き、その登山口を登ってゆくと再び BASTEI の看板があった。

30分ほど登ると Bastei-Jubelfeier と書かれた岩が見えた。 そして、ここがザクセンのスイスと呼ばれる場所のようだ。着いた。 実は、この岩山に掛かる石橋を前日の車窓から見ていた。これに違いない。ようやく着いたのだ。 ようやくというのは…ここに着くまでにかなり疲れているからだ。登山口から石橋に着くまでにはおよそ40分かかった。 気温は約30度。猛暑の日本からヨーロッパに来たというのに避暑は失敗である。しかも、道中の傾斜はきつい。 道は石や木で整備されており、軽装で登れるとはいえ、きつい。

苦労して登ったザクセンのスイスからエルベ川を見下ろす。美しい。そして恐ろしい光景だ。とても高い。

そして、この日はプラハへ戻る。Kuraut Rathen 駅からプラハ中央駅…ではなく Bad Shandau 駅へ。 Bad Shandau は特急が止まる駅だ。次の特急が来るまで1時間以上あるが、それでも各駅停車でプラハに行くよりは早い。 ここで特急に乗り換えることにした。 特急が止まる駅ならば何かしら楽しめるものはあるだろう…と踏んだのだが、何も無かった。 結局、駅の中にあるカフェで時間をつぶした。時間が過ぎるのが遅い。 カフェではエーデルピルス(ビール)飲んだ。日本でも飲んだことのあるビールだ。 苦味の強いビールのはずなのだが、このときは優しい味に感じた。

そして、プラハ行きの特急に乗った。

プラハに到着するまで心は無であった。

希望は夕食のみ。 ホテルにチェックインして少々休憩した後、ウ・フレクというレストランに入った。

メニューには肉料理が並ぶ。150g, 200g という量の数字が見える中、600g という文字が目に留まった。 pork knuckle と書かれていた。豚足だ。骨まで含んでいるから 600g なのだろう。 「チェコに来て豚足か?」という気持ちと「ただの豚足ではない!チェコの豚足だ!」という気持ちがせめぎ合う。

迷った結果、豚足を注文した。皮はムチムチ、肉はホロホロ。付け合わせの西洋わさび、ペコロス、唐辛子のようなパプリカもいい。 黒いビールは4種類の麦芽を使った店ならではのものだそうな。旅の中でこれが一番おいしかった。

6日目: フィンランド - ヘルシンキ

残りの日はフィンランドで過ごす。プラハ空港からヘルシンキへ。 入国審査が無かった。

ヘルシンキ空港からヘルシンキ中央駅へ電車で向かう。 HSL というモバイルアプリで電車のチケットを買うことができる。 空港に着いてから Google Play でアプリをインストールし、クレジットカード情報を登録すると、すぐ使えるようになった。 このチケットは一定の地域内、一定の時間内に電車に乗る権利を示す。 例えば、ヘルシンキ内の電車に80分間乗るチケットというものがある。この80分間は何回でも乗ることができる。 そして、この国の電車にも改札というものは無いようだ。 駅員にチケットを提示するよう求められたら、このようなアプリの画面を出せばよい。 有効時間内であればカラフルなアニメーションが表示される。期限が過ぎるとその旨と共に新しいチケット買うボタンが表示される。

アプリの他に券売機もある。が、アプリの方が安い。https://www.hsl.fi/en/tickets-and-fares

さて、この旅行で行った3か国ともに改札が無いので、日本の方が珍しいのか?とも思えてきた。 なぜ改札が無いのだろう?と疑問に思ったところ、もしかして犬と自転車が理由ではないかと浮かんできた。 これらの3か国の電車では犬を連れていたり、自転車を持ち込む乗客が日本に比べて多いように見えた。 犬や自転車と一緒に電車に乗るには改札というものは邪魔でしかないのだ。


ヘルシンキ空港には Lentoasema という駅があり、そこからヘルシンキ中央駅 (Helsingin päärautatieasema) へ向かう。 そして、HSL のアプリで選ぶ地域名は Helsinki ではなく Regional だ。 なぜなら、ヘルシンキ空港のある地域はこのアプリの選択肢にある Helsinki ではなく Vantaa だからだ。 そして、Vantaa 地域と Helsinki 地域の両方に乗ることのできるチケットを買う際の地域の選択肢が Regional なのだ。 ということを同行した友人が教えてくれた。事前に調べていたのだろう。 私だったら「ヘルシンキ空港からヘルシンキ駅なんだから地域名も Helsinki だろ!」という風に間違えるだろう。 むしろ初めての人は絶対間違えるんじゃないのか?

ヘルシンキ中央駅から外に出ると太陽が輝いていた。暑い。30度だ。 ちょうどこのとき日本では地域によっては40度もある猛暑だったので、私は北欧に避暑しに来たと思ったのだが、間違いだったようだ。

暑さに加え、連日の飲酒、前日の登山、そしてフライトで体は疲れていた。 なのでこの日は特に観光せず休むことにした。ホテルチェックイン時点で16:00。 部屋に Chromecast 機能のあるテレビがあったので、いつも見ている YouTube チャンネルを見た。

そして夕食。肉が続いたので魚料理を食べることにした。 レストランまでは路面電車で行く。そう、ヘルシンキにも路面電車があった。 路面電車が珍しい日本からすると、プラハドレスデンヘルシンキ、3都市3か国全てに路面電車があるというのは新鮮だ。 Google マップで経路を調べることもできる。路面電車のチケットは電車と共通であり、HSLのアプリで買うことができる。いいね。

"パイクパーチのマンネルヘイム元帥風" を注文。パイクパーチというのは白身の淡水魚らしい。 きのこの香りがするしつこくないホワイトソースは揚げた白身にとても合っていた。 マンネルヘイム元帥風とは何なのかはわからない。日本語のメニューにそう書いてあるのだ。 お店のサイトにも日本語のメニューが載っている。 レストランに日本語のメニューがあるのはこの旅で初めてのことだ。日本人の客が多いのだろうか。

量が多かったので、腹ごなしのためにホテルまで歩いて帰ることにした。 途中、それなりの広さの公園があり、芝生に座って本を読んだり、お酒?を飲んだりする様子が見られた。 この写真は 21:00 ごろに撮影したものだ。明るい。明るさだけは旅の間ずっと慣れなかった。

この日の最後の楽しみはサウナだ。 フィンランドと言えばサウナ。サウナはフィンランド発祥、フィンランド語なのだ。 ホテルの上の階に宿泊客用のサウナがあり、性別ごとに部屋が分かれている。 サウナのある階に着き、うろうろしていると、扉からホカホカになったおばさんが出てきた。 私を見るなり「Sauna~? :)」と話しかけてきた。とても機嫌がよさそうだ。 男性用のサウナの場所を聞くと親切に教えてくれた。サウナは人を優しくするのか。

サウナの扉を開くと誰もいない。私だけだ。 6畳ほどの脱衣所があり、すぐ隣に4畳ほどのシャワー室があり、一番奥に2畳ほどのサウナがある。 はて、サウナのマナーは何なのか…日本の大浴場とは異なり水着で入るのではないか…と思い、シャワーを浴びた後にバスタオルを巻いてサウナに入った。 そのすぐ後、フルチンのおっさんが豪快にシャワーを浴びてサウナに入ってきたので、マナーのことはどうでもよくなった。

7日目: フィンランド - ヘルシンキ

旅の終盤。丸一日観光できるのはこの日が最後だ。 パロラ戦車博物館へ行った後、街のサウナへ行くことにした。

この日も晴れ。暑い。道中は水が必要だ。 フィンランドの物価は日本からすると高く感じる。特に飲み物は高い。500mlの水やジュールは2~2.5ユーロだ。 そして地球の歩き方によるとフィンランドの水道水は飲むことができておいしい。 なので、ホテルで空のペットボトルに水道水を入れて持っていくことにした。 実際、飲んでみるとおいしい部類だった。

まずはヘルシンキ中央駅からハメーンリンナ駅(Hämeenlinna) へ特急列車 Inter City で向かう。 この電車は HSL の管轄ではなく VR の管轄だ。 日本に JR があるように、フィンランドには VR があるのだ。 といっても、V なんとか Railway ではなく、Valtionrautatiet らしい。

ヘルシンキ中央駅から発車して間もなく電車が止まってしまい、フィンランド語のアナウンスが流れた。 英語のアナウンスは流れない。何が起こったのかわからずボーッとしていると、 トラブルがあったので乗り換える必要があることを近くのおばさんが教えてくれた。 サウナは人を優しくするのか。

結局、ハメーンリンナ駅までは1時間半ほどかかった。 そこから戦車博物館まではタクシーで20分ほど。

そういえばフィンランドのタクシーアプリってのもあるんだろうかと思って探したところ、 Valopilkku というものがあることがわかった。 でも利用するには SMS メッセージを受け取る必要があり、海外旅行用のデータ通信 SIM ではできないようだ。がっかり。

それにしても、ヘルシンキに泊まっているのに2時間かかる場所へ観光に行くとは何かおかしいのではないか。 日本で例えるなら、羽田に着いて、品川に泊まって、伊東に日帰りで行こうってところだと思う。 そんな旅行者はいるのだろうか。

戦車博物館には戦車がいっぱいある。30台以上あったのではないか。 博物館とはいっても屋内だけではない。半分以上は屋外にある。戦車は外で乗るものなのだ。 戦車によっては中に入ったり、上に乗ったりすることができる。 中はとても狭い。上に乗ると結構高い。

戦車の横には解説文が書かれている。全長、速度、砲弾、乗員数などのスペック、製造国、使用された年代など。 ハメーンリンナ駅から博物館まで運んでくれたタクシーの運転手は「多くはロシアからの借り物さ」と言っていたが、 確かにソビエト製と書かれたものがほとんどだ。 解説文にはQRコードが書いてある。これをスマホで読むと、その戦車が動いている YouTube の映像を見ることができる。 Keycode というサービスであり、Ebax というフィンランドの会社が運営しているらしい。

こちらは外にある戦車の一つ。教養のない日本人なら「マジ卍」とでも言ってしまうのではないか。私はうっかり心の中で言ってしまった。

戦車の次はサウナ。パロラからヘルシンキまで2時間近くかけて戻る。 Löyly という施設だ。 ロウリュと言えば日本人でも聞き覚えのある方もいるのではないか。 サウナ内にある熱された石に水をかけると、水蒸気がサウナ内にたちこめる。あれのことだ。

Löyly はヘルシンキ南部の海に面した場所にある新しい施設だ。 レストランが併設されており、海辺で食事やお酒を楽しむことができる。 この日は (いつも?) DJ がいて、ゆったり目のハウスが流れていた。

サウナは2時間の予約制。今回は20:00-22:00の枠に入ることにした。 脱衣所で水着に着替える。水着はレンタルすることもできる。このときは6ユーロでレンタルした。 中は幾つかの部屋に分かれている。全ての部屋は性別によらず共通だ。 1つ目の部屋は中央のたき火を囲んでゆっくり座れる場所。無料で水を飲むことができる。 その奥にシャワーのある部屋がある。バケツから冷水をかぶることもできる。

シャワーと冷水の部屋からは2つのサウナにつながっている。1つは明るく、もう1つは暗い。 どちらも最大で15人くらい入れるほどの大きさだ。 どちらの部屋でもサウナストーンに水をかけてロウリュを楽しむことができる。 水をかけると部屋はたちまち熱くなる。これまで日本で体験したどのサウナよりも熱かった。 暗い方のサウナでロウリュをやった後に階段を降りるときは慎重になる必要がある。

水をかける回数について "One or two?" "Three !?" "OKAY!!" といった会話がなされていた。フィンランド語ではなく英語。 外国人観光客も多いであろう施設だから英語なのだろうか。 実際、聞こえてくる言語は様々だった。 エモさあふれるリア充施設というためか比較的若い客が多かった。20~40歳といったところだろうか。

この施設からは海に入ることができる。プールにあるようなステップも設置されている。 冬でも入るらしい。夏の今なら楽勝ッッ!!!!…これにて、フィンランド湾で泳ぐ実績を解除した。 特にきれいな海とは言えないが気持ちいい。仰向けで浮かぶと心が落ち着く。 ステップを降りて海に入った瞬間からもう足がつかないので注意。泳げない人がうっかり入るとあぶないかも。

サウナで熱くなった後に海に入る。サウナで熱くなった後に冷水をかぶる。 水を補給してたき火を眺める。またサウナに入る…。 これはものすごくくせになる。この文を書いている今でも再び行きたい気持ちが高まってくるくらいだ。

サウナをあがり、海を見ながらビールを一杯。22時前は夕日が出ている。 リーチ、一発、フィンランド、サウナ、海水浴、海辺、パラソル、夕日、ビール、ハウスDJのダブル役満だ。 こうして Löyly では2時間ほど過ごした。

まだ夕食はとっていないので、23:00 まで営業している Juuri へ行った。 生のトラウトがものすごくおいしかった。それしか覚えていない。 サウナで優勝したのにまだ優勝できるのかと思った。

帰り道。23時過ぎだっただろうか。エモすぎる。もしデートだったら即落ちだろう。

8日目: 帰国

船で日本に帰ります。

といきたい気分だが帰りは飛行機だ。 離陸時刻は17時台なので少しだけ観光する。 行先はスオメンリンナ要塞。ヘルシンキの港から船ですぐの島だ。 この乗船チケットも HSL のアプリで買うことができる。地下鉄、路面電車、船、全部共通チケットだ。

島に着くとパンフレットが置いてある。日本語のもあった。

要塞というだけあって大砲が置いてある。この岸からも撃ったのだろうか。

要塞とはいっても、島を歩いてみた感想としては兵器も散在しているリゾート地という印象だ。

要塞全体をじっくり観光する時間は無いのでヘルシンキ港に戻ってきた。たくさんの露店があり、にぎわっている。

空港への電車。NULL発、NULL行きだ。

空港で旅行最後の一杯。

こうして初めてのヨーロッパ旅行を終えた。 思い切って行くことにして本当によかった。