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ET2009感想その1 - ETEC組込み技術者育成・教育支援と組込み技術者試験制度の活用

http://www.jasa.or.jp/et/

ブログアカウントを持っていたことも忘れ、開催から幾日も過ぎてしまいましたがEmbedded Technology 2009について書きます。展示会そのものについてはニュースサイトでかなりのレポートが出ているのでカンファレンスの感想を書きます。私の職種上ソフトウェアのことが中心です。歴3年目の若輩者が自分の言葉で書いているので間違いがあるかもしれません。
さて、その1は「ETEC組込み技術者育成・教育支援と組込み技術者試験制度の活用」について。

  • 講演概要

技術者の絶対数は増えてかつての不足感は無くなってきたが優秀な人の割合が少ないという問題に取り組み、一定の成功をおさめたアイシン・コムクルーズ社のお話。以前はソフトウェア開発は決して得意ではなく、教育に関しては新人研修くらいしか無かったそうです。そのような状況から自社向けにカスタマイズしたETSSを策定し、社員に説明できるスキル標準・スキルマップや技術者のキャリアパスを策定したそうです。また、ETECにて一定のスコアアップが得られたという結果も出ています。

  • スキル不足が問題となった理由の推測

スキルに関する問題がいま表面化したのかはよくわかりませんが、理由は色々あると思います。まず教育は直接利益を生むものではないので、特に財務が厳しい今では積極的に投資しにくいでしょう。現場レベルで見ると、大規模化と分業によって先輩が後輩にものを教えるという徒弟制度のようなシチュエーションが少なくなってきていると思います。教えても評価対象にならない人事制度なら尚更それに拍車がかかるでしょう。実装は請負・派遣社員に任せているので動作の仕組みを十分理解していないまま何年も過ごしているメーカー正社員というのもこのスキル不足問題の当事者です。amazon:組み込みソフトの開発現場につける薬によると、組み込み開発の経験の無いソフトウェアエンジニアを採用して人材不足を解消したという話もあるので、とりあえず人数不足は解消傾向に向かいつつあるので次は質の問題という段階なのでしょう。

  • スキル指標策定と定量化が重要な理由

スキルは設計の良し悪しに直結し、設計の出来は品質に直結します。また、スキルは開発期間に直結し、つまり早期市場投入に関わります。要はできる人がいれば結果もいいという単純な話なのですが、ソフトウェア開発においては特に、人の優劣の生産性はコーディング時間やデバッグ時間で言えばおよそ20倍もの差があります。そして、できる人だけで固めてチームを作ることもできない現状なのだから、力の底上げをしてゆくことが重要だということです。
組み込み業界全体としてソフトウェア開発力が問題となっているかは知りませんが、このような講演がある所を見ると多くの会社で悩んでいることなのだと思います。PC用アプリやWEB系ですと資格を取ることがメジャーとなっており、IPAや各ベンダーが多くの試験を実施していますが、組み込みでは知ってる限りだとエンベデッドシステムスペシャリスト(ES)とETECくらいしか無く、試験の結果でスキルを提示するという文化も薄いように思えます。実際、ETECが始まったのも2005年です。IT系も同じソフトウェアなので人材育成について同じ問題を抱えているとは思いますが、資格がメジャーな分だけ組み込みよりも状況は良いのかもしれません。
試験だけだと点数を取ることだけで終わってしまいますが、スキルマップやキャリアパスがあれば目標が定められるので、目的を持って実力を伸ばすことができます。目標を定めてスキルが定量化されれば上司との面談もしやすいはずです。また、「X年目なら○○ができるべき」という指標があれば危機感が生まれて主体的に努力するきっかけとなるでしょう。

  • ひとまずの目標とETECについて

ひとまず今の実力を測る所から始めなければなりません。ETEC(クラス2)では800点満点でグレードがA,B,Cの3段階あります。そして平均点がおよそ470点、グレードA,Bの境目は大体550点、上位10%は600点以上というデータがあります。このETEC(クラス2)というのはエントリレベルとして位置づけられており、スキルが問題となっている現状で平均470点なので、なんとなくエントリレベルとして十分でなさそうな数字となっています。まずはグレードAかどうかを確かめることから始めるのが良いか…と思うのですが、このETECは受験料が15750円であり、IPA ESの5100円と比べるとどうしても高く見えます。ETECが全問選択式でESが選択式+記述式なのを考えると更に高く見えます。どうせお金を払うのなら実力をきっちり判定して欲しいものです。