Azure Boards に対する期待と実際の違い

Azure Boards は優れたツールだと思いますが、私が期待していた振る舞いと実際が違うという場合があります。 それらがどういうものなのかを列挙していきます。

該当する要望は Developer Community に載っている場合があります。実装予定の場合もあります。 これらの情報の所在がわかるものはリンクも載せておきます。 developercommunity.visualstudio.com

内容は2020年5月17日時点の Azure DevOps Services に対するもので、Azure DevOps Server に対するものではありません。

UIは英語のみ

Localization support for Team Services - Developer Community

「あれ?実はできない?」と最初に気づいたものがこれ。 難しい言葉は見当たらないので別に英語のみでもよいのですが、慣れない人はいそうに思えます。

同様にドキュメントにも日本語はありません。こっちのほうが量が多くてつらそう。 Azure DevOps documentation | Microsoft Docs

GitHub - MicrosoftDocs/azure-devops-docs: This repo is the home of the official Azure DevOps documentation for Microsoft. GitHub Issues filed in this repository should be for problems with the documentation.

デフォルトでは Work item の ID が表示されない

Global work item column options - Developer Community

「●●の実装って終わったんだっけ?」 「えーと、123番じゃなくて145番の方の●●だよ」 のように会話で Work item の IDを挙げることは日常的だと思うのですが、 どういうわけかデフォルトでは ID が表示されません。 設定で表示させることはできます。

f:id:masskaneko:20200517222344p:plain

f:id:masskaneko:20200517222451p:plain

ただし、この設定はチームごとであり、organization 全体には効きません。 ID表示をデフォルトとし、organization 全体の設定を可能としてほしいところです。 Developer Community に同様の要望があるのですが、支持数が少なく Closed となっています。

Work item の期限が近付いたときに知らせる機能がない

Due date notification - Developer Community

Ability to set reminders on work items - Developer Community

Due Date の何日前になって Done じゃなかったら Assigned To の人にメールするというリマインダー機能がありません。 Planner にさえあるのに Azure Boards には無いのか!?と思うのですが無いものは無い。 デイリースクラムをやってれば必要ないんじゃない?ということなのでしょうか。

Work item の特定のステータスを遷移させることができるのは特定の権限を持つユーザーだけ、という機能がない

Allow specifying state transitions when using inheritance process - Developer Community

例えば、Closed にできるのはプロダクトオーナーだけにしたいという場合には欲しい機能ではないでしょうか。

これは 2020 Q2 実装予定であり、二段階に分けてリリースされるそうです。

Dan Hellem [MSFT]  May 05 at 01:48 PM
phase 1, state to state restrictions will be available for preview in our current sprint rollout. About 1-2 weeks.

Phase 2, restrict transitions by group membership, is scheduled for 2 sprints out
Dan Hellem [MSFT] 4 days ago
Phase 1 of this feature is rolling out to Azure DevOps service over the next 5-8 days. If you are interested in being part of the private preview, please email your org name to dahellem@microsoft.com.

複数の階層化された Work item をコピーする機能がない。

Work item template or clone including subtasks - Developer Community

ある親に対して決まった子の Work items があって、それをテンプレートとしたい場合には欲しい機能だと思います。

これは 2020 Q2 実装予定だそうです

Work item から Pull Request を作る際にブランチ名を自動で決める機能がない

Set A Branch Names In Azure DevOps from work item - Developer Community

GitLab と JIRA+Bitbucket ではお馴染みの機能なのですが無いんです。 チームで決めた命名規則に自動的に沿うためには便利な機能だと思うのですが要望数は少ないです。

Work item を Markdown で編集できない

Add Markdown Support in Discussions - Developer Community

Repos では Markdown ファイル (.md) を扱えるのですが、Work item の編集では違います。 これも 意外と できないことです。 要望数は 170 を超えていますが、まだ New なので検討されていないようです。

Iteration の期間を GUI で設定する際、指定した期間を繰り返して設定することができない。

Auto create iterations or sprints - Developer Community

f:id:masskaneko:20200517225922p:plain

これをイテレーションごとに入力するのは面倒なんですよね。 カレンダーアプリだと繰り返しの予定を入れる機能があります。似た機能が欲しいところです。

Boards では Tag の色をつけられるが、他の画面ではつかない

Add colored tags to sprint board/backlog - Developer Community

Boards では Tag に色をつけられます。しかし、Work items, Backlogs, Sprints ではその色がつきません。 要望数は50を超えていますが未検討のようです。

ガントチャートがない

Gantt chart option in VSTS - Developer Community

機能も、実装予定もありません。

長期の計画を立てる機能としては Delivery Plans という拡張機能があります。 Work item 同士の依存関係を表現するには Depencency Tracker という拡張機能あります。

どうしてもガントチャートが欲しければ Microsoft Project を併用するのがよさそうです。

Test Case を Disabled にすることができない

Work item type Test Case cannot be disabled. Disabling test work item types is not allowed. - Developer Community

使わない Work item type は Disabled にしてユーザーが迷わないようにしておきたいところですが、Test Case だけは Disabled にできません。 なぜなのでしょうね。

プロセステンプレートの編集にて Work item type をコピーできない、名前変更もできない

プロセステンプレートで用意されている Work item type の名前だけ変更したい、一部のフィールドだけ変更したい場合に コピーと名前変更ができると手間が少なくて済むのですが、できません。

Created Date が編集可能

f:id:masskaneko:20200517232057p:plain

Work item の State を変更した日付は自動的に記録されます。 どういうわけか Work item を作成した日だけは編集可能であり、他の状態になった日は編集不可能です。 記録を改ざんできるのでダメだと思います。 まぁ、改ざんといっても History には残るので照合はできますが、それも面倒ですよね。

おわりに

以上、私から見た意外とできないこと集でした。 これらができなくても十分採用に値すると思いますが、組織によってはクリティカルかもしれませんね。

また、Developer Community では Microsoft の方々がユーザーの要望に反応してくれますが、 彼らから見て要望の理由がわからなかったり、最後のコメントから90日過ぎると棄却されます。 なので、まずは欲しい機能があったら Vote する、無かったら新規に作る、要望の理由を詳細に書くということが貢献になると思います。