辞めた人の意見を誰でも見られる良い時代

ここ1年で退職エントリというのが増えました。こんなやつです。人それぞれのキャリア観や、色々な会社の事情がわかって、面白いですね。
「退職しました」ブログエントリのまとめ - NAVER まとめ

この流れは一言で言えば「そこがどんな会社なのか誰でもわかるようになること」です。これは誰にとっても歓迎すべきことなのではないかと思います。もう少し話を大きくすると、これはソーシャルメディア時代の賜物であり、すなわち「隠し事のできない時代」を意味すると思います。どんなに隠しておきたいことも、明らかにしようという意志があれば、それを止めることはできません。

退職エントリ以外に、このようなウェブサイトも流れを押しています。

仮に、どんな会社であるか隠し事ができなくなるとすれば、会社はどう変わるでしょうか。採用はどう変わるでしょうか。

初めて就職しようとする人達にとっては、理想と現実のギャップがあるということをあらかじめ知ることができる。体感することはできなくても、どんなに良さそうな会社に行っても受け入れなければならないことがある。それでも諦めずに頑張ってる人達が沢山いる…ということを知ることができるだけで十分です。明らかなミスマッチも防げます。

企業にとっては、良い労働環境にしようというポジティブな力が働く。従業員が何を考えて働いているかがわかる。応募してくる人が何を求めているかがわかる。マッチした人を採用できる。自分の所だけではなく、よその会社の従業員がイキイキしながら働いているのか否か、どうしてそうなのかがわかり、負けないように頑張るきっかけになる。退職エントリとは逆に、企業側からリアルな現場を伝えるエントリを書いたっていい。むしろどんどん書くべき。着飾ったってどうせ後でバレます。

「隠し事なんてできないというのであれば、辞めたときのことだけじゃなくて、"普段働いていて楽しいです!"っていうエントリも書けばいいのに」という意見があるかもしれません。確かにその通りです。ただそれはブログのエントリとしてではなく、もっとリアルタイム性の高いソーシャルメディアに表れるのではないでしょうか。楽しいことって、すぐ「楽しい!」って言いますよね。

さすがに今はまだ「隠し事のできない時代」とは言えません。ただ、流れとしては確実に進んでおり、実際に退職エントリが一般化している今を形容するなら「辞めた人の意見を誰でも見られる良い時代」と言えます。

「大企業辞めた自慢」の若者増加 | 東スポWeb – 東京スポーツ新聞社
私が良い時代だと思う一方で、退職エントリを書くことを「大企業辞めた自慢の若者増加」と捉える人もいるようです。もちろん実際の退職エントリを読めばわかるのですが、自慢している文章は見当たりません。あっても、少数でしょう。

すぐ諦める根性の無い人が増えているのであれば確かに問題ですが、それ以外の理由で辞めている人が増えているとしたら?しかも、特に優秀な人ほど該当するとしたら?礼賛でも批判でもなく、淡々と事実が書かれているだけなのに悪い印象に見えてしまったら?企業にいる身としては真剣に考えなくてはいけません。「余計なことを書いてくれてまったく」とため息をつく方もいるかもしれませんが、もしそれが採用・就業環境・インターナルブランドを真剣に考えるきっかけになれば、それだけでも大きな利益の種となるでしょう。