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現実とのシームレスな不思議体験

寝ているとき…

枕元に誰かがいて何かを物色しているような音がする。ブツブツ何かを喋っている。声は低く、随分年老いた男性のようだ。

意識が覚醒する。

「鍵はきちんと閉めたはずだ」
「寝たフリをしないと危ない」
「周りに武器は無いか」

などの考えが錯綜する。

そいつは寝ている俺の横を通って玄関へ向かおうとする。一通り物色を終え、退散するのだろうか。薄目を開けて姿を確認しようとするが目蓋が全く動かない。それどころか指一本動かすことすらできないのだ。この金縛りは10分は続いただろうか…。

そいつが玄関から出て行ったのなら必ずドアを開閉する音がするはずだが、動けない間には全く音がしなかった。つまり、そいつはまだ家のどこかに潜んでいるかもしれないということだ。このとき私は自分の聴覚を疑うことは無かった。

やっと動けるようになった私は物音を立てないように台所へ進み、昨晩片付けるのを忘れた包丁を手に取った。「住居不法侵入に対する正当防衛だ」などと言い聞かせたりもした。

そいつが隠れているとすればトイレか風呂場。開けるのが非常に怖い。できれば夢であって欲しいと願ったその時、「本当に夢なのではないか?」と思った。"実際には"他の誰も居ない部屋で一人包丁を握る姿がとても愚かしく思えてきた。

予感は的中した。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E7%B8%9B%E3%82%8A

全ては幻聴。それにしても気持ち悪いほどリアルだった。何しろ金縛りにあっている間、体を包む布団の感触や体温、呼吸による空気の流れ等の感覚はあったのだ。そのような正常な状態で聞こえてくる音を幻聴だとは思うまい。

金縛りがレム睡眠時に起こる生理現象で、幻覚や幻聴を引き起こすことを理解した後も、トイレと風呂場に誰も居ないのを確認せずにはいられなかった。それ程リアルである。

気持ちの悪いものを勧めるのも何だが、皆さんにも是非体験して欲しい。もし次に同じような金縛りにあったら「もしかしたら幻では無い可能性も…?」という期待を抱かずにはいられないだろう。それ程スリリングである。